わたりグリーンベルトプロジェクトって?

東日本大震災と亘理町の海岸林

2011年3月11日(金) 14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の大地震が発生しました。

この東北地方太平洋沖地震とそれに伴う大津波によって、約120haあった亘理町の海岸林は、まさに壊滅的とも言える被害を受けたのです。

震災前、亘理町の沿岸部には2つの大きな集落がありました(左図参照)。ここでは、町の特産品であるイチゴの栽培や米づくり等が盛んに行われていましたが、そうした沿岸地域の豊かな暮らしを可能にしていたものこそ、藩政時代から育まれてきた海岸林の存在に他なりません。昔からこの地域で暮らす人々にとってはもちろん、その環境をよりどころとするたくさんの生き物たちにとっても、海岸林は本当に大切でかけがえのないものだったのです。

「先祖代々受け継がれてきた、この町の原風景を取り戻したい」「おらほ(私たち)の森を復活させたい!」そんな地域住民の想いを形にすべく立ち上がったのが、わたりグリーンベルトプロジェクトです。

基本構想「マスタープラン」の作成

東日本大震災の翌年、2012年9月。同年春から開催された計5回の住民参加ワークショップを経て、わたりグリーンベルトプロジェクトは、事業の柱となる基本構想「マスタープラン」を完成させました。

そこには、地域住民をはじめとする延べ200名以上のワークショップ参加者たちがみんなで思い描いた、緑豊かな海岸林の再生を軸とした沿岸地域復興への熱い想いが込められています。

マスタープランのテーマは、つながりが育む「おらほの森」。ここで言う“つながり”とは、海-砂浜-海岸林-湿地-農地といった地形・生態系のつながりや、そこで育まれる生命のつながり、さらには、その豊かな恩恵(生態系サービス)を受け取る私たち人間同士のつながりを指しています。

ここに掲げられた様々な目標や将来像は、実際のところ、まだほとんど達成できていないのが現状です。中には、各種復旧・復興事業等によって、残念ながら実現が不可能となってしまったものもあります。それでも、緑豊かな海岸林の再生を目指して、地域住民やたくさんのボランティアの方々と協力しながら町有林に約4万4千本もの苗木を植樹できたことは、私たちにとってとても大きな自信、そして誇りとなっています。